リフォーム ポイント講座 水廻り編

 浴室改装の実例から学ぶ リフォームのポイント

 解体工事前⇒ 

前述でリフォームでは『解体工事も大事な作業』と書きましたが、その実例です。写真は築30余年の浴室・洗面室の改装現場ですが、この頃の水廻りはタイル張り仕上げが多く見られます。そしてそれは解体工事にとって一番時間の掛かる仕事の部分かもしれません。

まず、壁タイルを解体する理由は、新規ユニットバスの必要施工寸法を確保する為です。特にこのタイルは「団子張り」と言われる工法で張られ砂とセメントを混ぜ合わせたモルタルと呼ばれる物をタイルの裏側に接着剤として使うもので、団子状にして付けた事からこのように呼ばれています。今ではタイル用の接着剤を壁下地面に直接貼り付ける工法が主流で厚さはタイル+接着剤の厚みですが、団子張りは厚みが4cm前後張り出しているためこのような撤去作業が必要となります。

さらに厄介なところはこのタイルがブロックやコンクリートに直接貼り付けられているパターンが多い事です。これは常時水を使うところは柱や土台が腐らないようにとブロック積やコンクリートにして床から腰高くらいまで立ち上げて作ってあるためです。ですからここに張り付いたモルタルは大変頑固に接着されています。
しかし、ここで大ハンマーや電動ハンマーで勢いよく叩くと、この構造上大事な基礎ブロックの部分を傷めて(ひび割れ)しまいますので注意が必要です。

       
石のみでコツコツと、この面だけでも一時間。もちろん熟練工の大工さん

解体の順番は天井部分から始めていますので、ここまで来るにはもうすでに相当な時間と労力が掛かっております。もちろんこのような砂やホコリの出る作業ですので、事前に既存部分のシート囲いの養生、そして搬出経路(廊下等)の汚れやキズ防止のための養生をしっかりしておく必要があります。

しかし、あまりゆっくりもしていられません。
それはもうユニットバスの搬入取付日が決まっているからです。工程を組んで発注するときから取付職人さにも予約を入れてあるのです。少しでも早く解体作業を片付けて、その次の工程である設備屋さん(電気・給排水)に工事を追っかけでやってもらわなくてはいけないからです。

 

↑浴室床の解体です。土砂やガラの搬出作業が手作業で、手間の掛かる部分なので、ここまで終了すると、解体工事はホッとしますが、しかしこの時点で土台や柱の腐りを発見した場合は、取替工事や虫害予防工事など、相応の処置をしなければなりません。

ここで既存の配管をチェックします。30年余も経つと昔の鉄管パイプは(右)のように錆びています。
でも意外とビニールの排水パイプはしっかりしている事が多いです。しかし出来るだけ屋内側は、全ての配管を差し替えることが好ましいと思います。(後から取り替えることが困難なため)その旨は水道設備屋さんにしっかり伝えてユニット取付担当者とも配管位置の間違いがおきないようにしっかり打合せを行い確認作業をしてゆきます。
この場合には、洗面所側の床も全て新しく取り替えます。

配管工事が終わると土間コンクリートを打ちます。コンクリートは強度面で、固まってからも出来るだけ時間を置きたいのですが、ここは工期の都合上、やむを得ずユニットの搬入までの時間だけ置く事になります。しかし少しでもコンクリート養生期間を延ばす努力だけはしたいので、配管作業が終わるのを待っていて終わり次第すぐにコンクリート打ちをします。これで約2日間位置くことが出来ます。

 コンクリートは出来るだけ養生期間を長くしたい⇒ 

ここまではごく一般的な説明になってしまいましたが、改装工事(解体工事)という性質上、構造的に是非やっておきたい大事な部分を説明しておきたいと思います。
それは、壁を取り外した時点でしか出来ない建物の構造上、大事な工事です。

  
たとえば柱と土台に構造用補強金物を取り付けたり、壁に構造用合板を打ち付け、強度を上げたりする事です。そしてこれは当然、建物全体の構造上のバランスも考えなくてはいけない為、この工事の担当は専門職の建築屋さんでなくてはならない、というのがその最たる理由であります。
また床の下地も厚い板を使い将来のヘタリを防止したいところです。(例:12ミリ合板なら二重張以上)

 
長年、床の下地に使われていたコンパネ。積層の接着が剥がれて、バラバラになった例

あと入口などに取り付けられる枠材ですが、合板やMDF(木材繊維を固めたもの)へシートを貼った新建材もあまりお奨めしたくはありません。新建材は見た目には塗装した本物の木以上に綺麗ですが、浴室の入口などは水の垂れる事が良くあるので小口(断面)から入った湿気で、やがては上記のコンパネのように、ふやけて剥がれる可能性があると思うからです。これは以前使ってみて実際に感じたところであります。工期や加工手間などの面でどうしても既製品になりがちですが、ここのところはちょっとだけ無垢材にこだわってみても良いのかもしれません。


枠材の加工風景(ちょっとだけ大工さんの手間が掛かります)

しかし、新建材がすべて悪いわけではないので適材適所で上手く使えば機能面で良い事もあります。
ただ、工期と金額を気にするあまり、何でもかんでも石膏ボードを下地とし、ビニールクロス貼りというのは如何なものでしょうか?湿気の多い洗面所には将来を見据えた提案ではないように思えてなりません。
例えば洗面脱衣室は防水性、防汚性に優れたパネルを使用したり、その反面、天井は吸湿性に優れた板材を使うとか・・また、床材などは汚れの気になる人には、無理に無垢材を使わなくとも防水性の面やコスト面で優れた、つなぎ目のないクッションンフロア等が良いのではないでしょうか。

  
洗面化粧台や洗濯機廻りの鏡面パネル 明るくてきれい。
防水性や防汚性に優れている。 取り付けスペースがあれば棚も取り付けたい


例:無垢の天井板(杉) 杉材の持つ、独特な暖か味があります。

いろいろ自分なりの考えを言ってしまいましたが、ユニットバスの搬入取付場面の写真がありますので載せておきます。

  

ユニットは大きなトラックで来る事もありますが、最近はこのような邸ごとに軽トラックで運ばれてくることもあります。そして追って取付の職人さんも到着。予定通り組み立て作業が行なわれます。

組み立て終了後、一日程度の養生期間を経て洗面所側の木工事や給湯リモコン取付・電気の仕上工事・内装仕上工事など全ての工程が終わればいよいよ完成お引渡しです。
ここまでお客様には1週間ほどのお風呂の入れない不便な生活をさせてしまいましたが、「綺麗になってよかった」とお客様から言われる事を楽しみに我々職人達は頑張っています。


以上、お客様が待ちに待った、浴室工事の完了です。いよいよ、この日から使って頂けます。
(余談ですが・・このとき家族の中で、誰が一番初めに入るのか、家族会議が開かれる場合があるようです(笑)

たった二坪弱の改装工事だったのですが、いかがだったでしょうか?
このユニットバスが現場に搬入されてから、組み立てに要する時間は、わずか約6〜7時間程度です。
工場できれいに作られた組み立てキットですから、どんな人が発注しても完成してみればユニット本体の仕上りはみな一緒です。しかしその裏側の工事には、まだまだ現場に精通した職人さんの手が必要だというところが、少しご理解いただけたでしょうか?

これは、キッチン・トイレ、また居室の改装などでも、同様の事だと思います。

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